51st meeting
「コミュ力」
Core Talk Cafe meeting

テーマ選択の背景

第51回ミーティングのテーマは、最近大流行の「コミュ力」。
仕事をする際に、初対面の人と交流する際に、「コミュ力が必要」「コミュ力を鍛えよう」などといった言葉が使われます。ネットで調べてみるにも、その方法論は様々な形で展開されてはいますが、「コミュ力とはそもそも何か?」という哲学的な問いに今一度立ち戻って見たいということで、このテーマに至りました。
   

当日の様子

 当然のように日常会話で使われる「コミュ力」。まずはみなさんで、それぞれの「コミュ力」に関するイメージを共有するところから始めました。まずは「単なる自己表現力ではなく、相手のメッセージを受け止める力でもある」という、コミュ力の受動的側面が指摘されました。しかし「人を欺く力である」といった、ある種の戦略的な技術である、ネガティブな要素を明らかにする方も。また「コミュ力」とは「コミュニケーション」の能力のことではなく、「コミュニティ」の中での能力、つまりコミュニティに馴染めている、または「みんなとうまくやることができる」力のことを言うのではないかと言う発想から「うまくやる」とはどういったことか、という話題に移っていきました。そこで、「コミュ力」がある人はむしろ、コミュニティから自由なのではないか、という側面が吟味されました。すなわち、コミュニティに縛られておらず、様々な境界を越えるような人のことです。さらに、相手に共感する力を持つ人であったり、伝えるべき事がきちんと伝達できる人、雰囲気を共有することができる人などが例として挙がりました。しかしながら、ご自身の経験から「雰囲気はうまくいっているが、物事(実際の仕事の内容)はうまくいっていなかった」お仕事の例を挙げて下さった方も。ここから再び、コミュ力の戦略的な技術的側面が想起されました。
後半は少し視点を変え、「コミュ力」と同じくらい使われている「コミュ障」についても考察を深めました。なぜ人は「自分はコミュ障だ」と言うのか。そしてその発言の際に隠されている弁明のようなものを、ご自身の具体的経験から話される方もいらっしゃいました。対話の終盤では「コミュ力を発揮しない自由は保証されるべきではないか」という意見について、様々な見解をみなさんで共有してお時間となりました。
   
Core Talk Cafe digest

Digest of digest

「コミュ力はいいものか」
「コミュ力は発揮しなければならないのか」
「コミュ障とは何か」

Book Guide

『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』 平田オリザ『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』(講談社現代新書)
平田オリザ
講談社現代新書

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