43th meeting
「個性」
Core Talk Cafe meeting

開催場所

喫茶茶会記(四谷三丁目)

テーマ選択の背景

第44回目のテーマは「食」にしました。開催場所のスケジュールの都合でいつもより早いランチの時間に開催となり、それならばいっそ食べ物持参の「てつがくランチ」にしようということで、食べながら「食」について話し合う回にしました。

当日の様子

みなさんにご自身のランチを広げていただき、またお持ち寄りいただいたチョコレートやみかん、さらにはちくわをまわしつつ、「いただきます」で開始しました。食べ物のおかげか和気藹々とした雰囲気の中、まずは「食」についてのお考えを挙手制で募り、議論の発火点を探っていきます。すると、多様な疑問があふれてきました。例えば、「現代人は大量生産で用意されたものばかり口にしているが、狩りや採集によるプリミティヴな食事と対比できるのでは」。またそこから、「食べ物と食べる私との関係の変化や現状を探り出すことができるのでは」。そうしてこの意見も含め、「食べ物」は他の生きものの命であり、それを「食べる私」は正当化できるのだろうか、という問いが議論の中心になっていきました。
そもそも、「他の命を食べる」ということに善悪がかかわってしまうのはなぜなのか。こうした問いに対して様々な具体例が挙がります。例えばベジタリアン、フルータリアン、イルカ漁、クジラ漁の問題です。それらの根っこには、「食べてはいけない」というよりも「殺してはいけない」という考えが分析できます。
しかし、例えば人工的に完全なサプリメントを造ったとして、わたしたちはそれで満足するのでしょうか。この思考実験で、「殺して食べる」ということが「食」の本質として浮かび上がりました。では、「食べてもよいもの」と「いけないもの」、「殺してもよいもの」と「いけないもの」との境界を決めることはできるのでしょうか。「文化」だと一言に言いきることのできない複雑さの中で、その境界線は曖昧なままに留まっています。それでもわたしたちは毎日、休みなく食べ続ける。この矛盾を考えたい課題としてお持ち帰りいただくことにし、「ごちそうさま」でおひらきとなりました。
Core Talk Cafe digest

Digest of digest

「食べることは正当化できるか」
「食べてはいけない=殺してはいけない?」
「食べてもいいものといけないものとの境界はどう定まるのか」

Book Guide

『ミノタウルスの皿』 藤子・F・不二雄『ミノタウルスの皿』(小学館)
藤子・F・不二雄
小学館

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